地球に力を:ライブ・ネイション環境持続可能性憲章

ライブ・ネイション・エンターテインメント (Live Nation Entertainment) は世界有数のライブエンターテインメント会社で、Ticketmaster、Live Nation Concerts、Festival Republic、Academy Music Group、C3 Presents、LN Media and Sponsorship、およびArtist Nation Managementといったグローバル市場のリーダーから構成されています。

ライブ・ネイションエンターテインメントはライブを変える力があります。当社は、音楽を通じて他の人に力を与えることは、世界を大きく変える方法の1つであると信じています。これは当社の持続可能性へのアプローチにも当てはまります。「地球に力を」が環境への影響を削減するときの当社のアプローチです。

当社が世界レベルのライブイベントを行うときには環境に依存しています。会場としてライブイベントのベースとなる環境は、ファンの記憶に長く残るユニークな雰囲気を作るうえで欠かせない要素なのですが、当社はその番人です。

当社では、当社の温室効果ガス排出量 (GHG) 削減がUNFCCC(気候変動に関する国際連合枠組条約)のパリ協定で定められているコミットメントに整合するように科学に基づく目標を設定することによって、気候に対する行動のリーダーシップを示そうとしています。これにより当社は、気候変動に関する政府間パネル (IPCC) の2018年評価報告に定められている、産業革命以前の気温と比較してグローバルな気温上昇を1.5℃以下に保つのに必要なレベルの脱炭素化に貢献することになります。

 

地球温暖化についてのライブ・ネイションの立場

地球温暖化は現実のものであり現在生じているものです。大気中のCO2e(二酸化炭素換算)レベルは史上最高を記録しています。異常気象という事態の発生する頻度は多くなり、その程度も大きなものになって、多くの人々の生活に影響しています。これだけではなく、生物多様性の喪失、空気汚染、海面上昇、海洋酸性化のようなその他の環境問題も人間の不注意な行動が地球環境を悪化させていることを示すものです。「生きている地球報告」で生物多様性が壊滅的に失われていることが伝えられ、IPCCが温暖化を制限するために執る緊急のアクションのタイムスケジュールを設定し、一般の人々の認知度が高まり、政府アクションを要求する抗議が増えていることが示すように、政府、ビジネス、組織および個人の協力による温室効果ガス排出量削減が必要なことはこれまで以上に明らかです。

ライブエンターテインメントにおける世界のリーダーとして、当社にはライブミュージックのエクスペリエンスを今後の世代のために残し、またグローバルな環境アクションを引き出すために私たちのプラットフォームを使用する機会も残しておく責任があります。

当社は責任あるグローバル市民であるために、当社が事業を行うコミュニティーを配慮し、グローバルな気候変動による悪影響を減らすための責任を果たしながら、当社の会場およびフェスティバルが環境に与える影響を削減するよう努力します。

当社では業界のクリエイティブな精神を活かし、当社のイベントにおいてまたそれにとどまらず、環境を配慮した小さくとも力強いステップを取るため、ファン、従業員、アーティストおよび業界を動機付けし鼓舞します。

そして当社はそのビジネスにとっての価値を革新し推進し続けていくための手段として、持続可能性を活用します。

 

この憲章の趣旨

  • 統一的ビジョン 当社の努力を漸進的なものから根本的に変え、現在までの実績を活かし加速し、共通する持続可能性で目的としているものに整合させます。
  • 野心的であっても実現可能なゴール  当社の努力およびゴールを国連の持続可能な開発目標科学ベースの目標イニシアティブ (SBTi) といった現在最も確立されたグローバル標準や枠組みに合わせます。
  • 一般の人々を鼓舞し人々とつながるプラットフォーム それは業界、従業員そして当社のゲートを通過する数百万人のファンに気候変動のソリューションについて訴え鼓舞するため、ライブミュージック、カルチャー、ブランド、教育および科学の中のベストなものをお届けするものです。

 

アプローチ

当社では、その持続可能性を実効性のあるものにするため、排出およびエネルギー、資源の使用と廃棄物(プラスチックを含みます)、水、食品、パブリックエンゲージメント、購買、交通、および地元への影響という、8つの優先分野を明らかにしました。各分野はそれに関連する国連の持続可能な開発目標への影響度および貢献度という観点で評価されています1。

 

温室効果ガス排出量

2019年にはライブ・ネイションが所有し運営する会場とライブイベントのすべてについて、科学的に設定した目標と対比して温室効果ガス排出量を測定します。これにより当社の温室効果ガス排出量 (GHG) 削減が気候変動に関する政府間パネル (IPCC) の2018年評価報告に定めている推奨と整合するようになります。

これにより、2030年までにスコープ1および2の温室効果ガス排出量の50%削減という包括的ゴールを達成するための年間削減目標を設定することができます。

 

エネルギー

当社では低炭素経済への速やかな遷移が急務であると考えています。

当社の目標は自社で所有し運営している会場、オフィスおよびライブイベントのすべてにおいてエネルギーを100%再生可能なものにすることです。当社の建物および会場は認証されているエネルギー効率基準に基いて運営されます。

今後10年にわたり当社では再生可能ソースからのエネルギー共有を増加させ、エネルギー効率化手段に投資し証明を取得します。当社ではそのゴール達成に役立つパートナーおよびサプライヤーを選び、イノベーションと新技術のテストをサポートします。

 

資源効率と廃棄物

ライブ・ネイションでは廃棄物の削減を最優先し、その後に再利用、リサイクル、エネルギー回収、処分を考慮します。

当社では地元および国内の必要条件を考慮しながら、当社のオフィス、会場およびイベントのすべてについて、2030年までに埋め立て廃棄物をゼロにし資源回収率50%(またはそれ以上)を達成することを目指しています。

当社の廃棄物については正確に報告を行い、廃棄物管理計画を請負業者と共に作成します。当社では当社の会場およびイベントにおいてクローズドループ型廃棄物管理システムを作成し、循環型経済の開発をサポートします。

 

プラスチック

当社では遅くとも2021年までに、当社の所有および運営する会場やイベントにおいての使い捨てプラスチック販売を順次なくしていきます。その後はすべて、再利用可能、再生可能、堆肥として利用可能な証明のあるものを使用し、それが不可能なときには少なくとも30%はリサイクル資源でできたものを使用します。

これに含まれるのは、サンプリング容器、ナイフやフォーク、皿、カップ、ボトル、給仕用具、サッシェ、マドラー、ストローなどです。

当社ではプラスチック代替品がないか調査し、同じ目標に向かい当社のパートナーとも協力していきます。当社では次のことを優先するポリシーを実施します:

  • 使い捨てではなく再利用
  • 有限な資源ではなく再生可能なものを
  • 商業的コンポスト施設があればコンポスト可能証明のある品物を
  • 高いリサイクル率(少なくとも30%)の製品を優先

 

当社では、当社の会場およびライブイベントで良質の水を提供し、無駄な水の使用を減らし、水の消費を制限しなければならないリスク分野を明らかにします。廃水の再利用を心掛け、この分野でのイノベーションをサポートします。

 

食品

当社では産業規模での食品生産および廃棄を環境問題として捉えています。当社は食品のカーボンインパクトを認識するとともに、サプライヤーと協力し動物福祉についてできる限り高い基準を満たす食品を仕入れます。お客さまに良質で健康的な食品を提供することを優先します。

当社では廃棄される食品の分量をできるだけ少なくし、コンポスト施設を有効活用します。

 

エンゲージメント

当社の持続可能性の目標は明確に透明性をもって当社のお客さまや関係者に伝えられ、当社の立場を利用してお客さまの環境問題への意識を高めるようにします。当社では環境に関するその地域や国および組織と連携、協力していきます。   当社では持続可能性に関する業界その他の会議に参加し、ベストプラクティスを共有し他から学んでいきます。

 

パートナーシップおよび購買

当社は、共有する持続可能性の目標に向け、当社のサプライチェーン、パートナーおよびスポンサーと連携していきます。

当社は当社が購入する製品の全ライフサイクルを考慮し、持続可能な製品をサポートする新市場開発を可能にするようにします。

 

交通

当社の会場およびライブイベントがすべて良好な公共交通機関とリンクしていることは重要です。このため当社ではサプライヤーや地元の当局と連携して、バス、トラム、列車、団体バスや自転車のような持続可能な交通手段の使用を奨励しています。当社が認識する不可避的なマイナスの影響については、それを測定しそれとバランスさせプラスの影響の生まれるものを見出して、それを当社のオーディエンスアーティストサプライヤーおよび請負業者に利用するように推奨します。

 

地域への影響

エコロジー:どの会場やサイトにもそれ自身のユニークな特性があり、デザインは環境的に注意すべき地域、受け継がれてきた遺物、または文化的に意味のあるものを考慮しながら準備されます。当社ではその地域の条件に従い業務を行い、当社のイベント実施中に地域の植生や動物相を保護するために必要であれば、環境や生物多様性への影響評価を実施します。

騒音および光:当社のイベントでの騒音や光による公害の影響を最小に留めるようにします。

地域コミュニティー:当社では地域のチャリティーをサポートし、可能であれば地元の雇用機会が生まれるようにします。当社は、当社の会場およびライブイベントが地域に及ぼす経済的影響を測定するようにします。

幸福:当社ではすべてのスタッフおよびビジターが健康で幸福となるよう配慮します。

 

ガバナンス 

持続可能性ポリシーは一元的に管理されますが、各チームが計画および運用において持続可能性を中心に考える能力を涵養して各国で個別に策定されます

各参加国では、当社の目標達成のためにとるべき環境管理システムとステップを定めた行動計画を開発します。

2019年に当社では標準アプローチを使用して当社のベースラインとなる環境フットプリントを測定し、これを用いて測定基準と各年に達成すべき目標を確定します。当社ではその進捗状況を透明性をもって追跡、測定および共有し、毎年報告書を公表するようにします。当社は適切な場合には証明スキームに参加します。

当社では当社の変化についてのプラスおよびマイナスの経験を共有し、ベストプラクティスを共有し、互いに学習します。

当社はこの立場を常に開発し改善していきます。

 

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117ある持続可能な開発目標のうち11項目はライブミュージックのイベントに直接関係するもので、それをここに掲げます。

3 – 健康および幸福、4 – 良質の教育、6 – 清潔な水と公衆衛生、7 – 手頃でクリーンなエネルギー、9 - 産業、11 – 持続可能な都市およびコミュニティー、12 – 責任ある消費および生産、13 – 気候に対するアクション、14 – 水面下の生命、15 – 地上の生物、および 17 – 目標に向けてのパートナーシップ。